(8)本音
「Kはすぐ調子に乗る性格だから。。。あれ程注意したのに聞かないもんだから。。。」
S見の父親の一言。
僕にはあまりにも意外だった。
殴られても仕方ないと思っていた。
なのに。。。
「ごめんなさい。本当に申し訳ございません。。。」
僕達に言える言葉はこれしかなかった。
これしか思い浮かばなかった。。。
「できれば、たくさんの友達に見送ってもらいたいし。。。ちょうど静岡に知り合いの葬儀屋さんがいるから、明日にでもこちらで葬儀を挙げたいんだけど協力してもらえないだろうか?」
「今夜はKと一緒に過ごすことにするよ。。。よかったら君達も顔を見せてあげてくれないか?Kもきっと喜ぶだろう。。。」
S見を葬儀場へ運んだ後また合流するという約束を交わして、僕達は一旦寮へ帰ることにした。
僕は片道5kmはあるであろう帰路を歩いていた。
今までのこと、事故のこと、これからのこと。。。
頭が破裂しそうだった。胸が張り裂けそうだった。
店長に借りていたバイクを取りに、事故現場にたどり着いた。
傷だらけなS見のバイクとK村さんのバイクが、夢でないことを訴えかけていた。
空はいつの間にか晴れ渡っていた。。。
寮に着き"C"に電話した。
「そうか。。。今日の仕事はいいから、S見ちゃんのそばにいてやりな。。。しっかりな。。。」
K藤さんの言葉が、この時の僕にはとても頼りになった。
誰かにすがりたかった。涙が止まらなかった。
寮では皆がS見のために、明日の葬儀の連絡を取り付けてくれていた。
僕はただの抜け殻だった。情けないと思いつつも体が動かなかった。
そして夜。。。
僕達3人はS見のいる葬儀場へ足を運んだ。
「来てくれてありがとう。。。Kも喜んでくれると思う。。。」
初めてS見の父親が泣いた。それでも僕達を責める言葉はなかった。
そこで事故後、初めてS見と対面した。
「S見、S見〜!。。。」
S見は棺桶の中で笑っていた。とても綺麗な顔をしていた。
死んでいるなんて思えなかった。
その時、僕はS見が救急車に乗る前に見せたあの脈を思い出した。
最後に僕だけに見せた生きてる証を。。。
「おまえは負けず嫌いだった。。。俺に対してはいつもそうだった。
"Yさんに負けてたまるか!"って。
"C"での仕事でもそれ以外でも、いい意味で俺とおまえはライバルだったよな?
だから、俺に対しては最後まで意地を張り通したんじゃないのか?
S見、何とか言えよ!」
心の中で、言葉が溢れ出していた。
どれだけの涙を流せば、この気持ちは治まるのだろう?
僕はずっと、S見の顔を見続けていた。。。
翌朝、葬儀当日。。。
僕達は友人代表で参列した。
昨日の今日で、あまりにも急だったわりに多くの人がS見を見送りに来ていた。
皆が涙を流していた。
でも僕は一滴の涙も出なかった。
昨日で枯れてしまったのだろうか?
悲しくない訳がなかった。
自分に起きてる出来事のひとつひとつが夢のようだった。。。
そして、葬儀が終わった直後だった。
一人の老人が僕に近づいてきてこう言った。
「先頭を走っていたのは君らしいじゃないか!君が先頭を走っていなかったらS見君はこんなことになっていなかった!君のせいでS見君は死んでしまったんじゃないのかね?!」
返す言葉がなかった。。。
本来、S見の父親から聞くべき言葉だった。
なぜS見の父親は僕を責めないのだろう?
なぜ優しい言葉をかけるのだろう?
殴られた方がよっぽど楽だった。
何を言われようと、何をされようと、僕は受け入れなければならない義務があるはずだった。
S見を殺したのは僕だから。。。
この老人の一言が、S見を失った親族の本音に違いなかった。
僕はそう思っていた。。。
→君がいなくなった日。。。(9)につづく。
「Kはすぐ調子に乗る性格だから。。。あれ程注意したのに聞かないもんだから。。。」
S見の父親の一言。
僕にはあまりにも意外だった。
殴られても仕方ないと思っていた。
なのに。。。
「ごめんなさい。本当に申し訳ございません。。。」
僕達に言える言葉はこれしかなかった。
これしか思い浮かばなかった。。。
「できれば、たくさんの友達に見送ってもらいたいし。。。ちょうど静岡に知り合いの葬儀屋さんがいるから、明日にでもこちらで葬儀を挙げたいんだけど協力してもらえないだろうか?」
「今夜はKと一緒に過ごすことにするよ。。。よかったら君達も顔を見せてあげてくれないか?Kもきっと喜ぶだろう。。。」
S見を葬儀場へ運んだ後また合流するという約束を交わして、僕達は一旦寮へ帰ることにした。
僕は片道5kmはあるであろう帰路を歩いていた。
今までのこと、事故のこと、これからのこと。。。
頭が破裂しそうだった。胸が張り裂けそうだった。
店長に借りていたバイクを取りに、事故現場にたどり着いた。
傷だらけなS見のバイクとK村さんのバイクが、夢でないことを訴えかけていた。
空はいつの間にか晴れ渡っていた。。。
寮に着き"C"に電話した。
「そうか。。。今日の仕事はいいから、S見ちゃんのそばにいてやりな。。。しっかりな。。。」
K藤さんの言葉が、この時の僕にはとても頼りになった。
誰かにすがりたかった。涙が止まらなかった。
寮では皆がS見のために、明日の葬儀の連絡を取り付けてくれていた。
僕はただの抜け殻だった。情けないと思いつつも体が動かなかった。
そして夜。。。
僕達3人はS見のいる葬儀場へ足を運んだ。
「来てくれてありがとう。。。Kも喜んでくれると思う。。。」
初めてS見の父親が泣いた。それでも僕達を責める言葉はなかった。
そこで事故後、初めてS見と対面した。
「S見、S見〜!。。。」
S見は棺桶の中で笑っていた。とても綺麗な顔をしていた。
死んでいるなんて思えなかった。
その時、僕はS見が救急車に乗る前に見せたあの脈を思い出した。
最後に僕だけに見せた生きてる証を。。。
「おまえは負けず嫌いだった。。。俺に対してはいつもそうだった。
"Yさんに負けてたまるか!"って。
"C"での仕事でもそれ以外でも、いい意味で俺とおまえはライバルだったよな?
だから、俺に対しては最後まで意地を張り通したんじゃないのか?
S見、何とか言えよ!」
心の中で、言葉が溢れ出していた。
どれだけの涙を流せば、この気持ちは治まるのだろう?
僕はずっと、S見の顔を見続けていた。。。
翌朝、葬儀当日。。。
僕達は友人代表で参列した。
昨日の今日で、あまりにも急だったわりに多くの人がS見を見送りに来ていた。
皆が涙を流していた。
でも僕は一滴の涙も出なかった。
昨日で枯れてしまったのだろうか?
悲しくない訳がなかった。
自分に起きてる出来事のひとつひとつが夢のようだった。。。
そして、葬儀が終わった直後だった。
一人の老人が僕に近づいてきてこう言った。
「先頭を走っていたのは君らしいじゃないか!君が先頭を走っていなかったらS見君はこんなことになっていなかった!君のせいでS見君は死んでしまったんじゃないのかね?!」
返す言葉がなかった。。。
本来、S見の父親から聞くべき言葉だった。
なぜS見の父親は僕を責めないのだろう?
なぜ優しい言葉をかけるのだろう?
殴られた方がよっぽど楽だった。
何を言われようと、何をされようと、僕は受け入れなければならない義務があるはずだった。
S見を殺したのは僕だから。。。
この老人の一言が、S見を失った親族の本音に違いなかった。
僕はそう思っていた。。。
→君がいなくなった日。。。(9)につづく。











